『ウィンブルドン2006 女子シングルス決勝戦』の試合を相方とTVで見ていて、優勝した、フランスのアメリ・モレスモ選手の顔が、どうしても歌手の河島英五さんに見えてしまったちゃぶ~です(^^;;;
あのアゴのシャープさといい、キリリとした目つきといい、なんだか似てるな~と思ったのです~。
というわけで今日は、河島英五さんのとあるCDを探しに神田神保町に繰り出しました~♪
英五さんと言えば『酒と泪と男と女』が有名すぎるほど有名ですが、僕は彼の代表曲の一つである『てんびんばかり』という曲が一番好きなのです(^^)
そして、今日神田神保町へ探しに行ったのは、『てんびんばかり』で僕がまだ聴いていないバージョンである、“世紀末バージョン”が収録されたCDでした。
そしてそのCDを無事に見つけ、買って聴いてみたのですが、今まで聴いていたどのバージョンとも異なる、独自の雰囲気を持った『てんびんばかり』で、新鮮な気持ちで聴けました。
今回は、そんな『てんびんばかり』のいろんなバージョンを紹介しようと思うのですが、その前に僕とこの曲との出会いを書きたいと思います。
僕とこの『てんびんばかり』の出会いは、河島英五ファンの友人、K鉄さんがカラオケで歌ってくれたのを聴いたのがきっかけでした。
そしてその歌詞が持つストレートなメッセージ性に強く心を打たれて、以来英五さんといえばこの曲ばっかり聴いてます。
この『てんびんばかり』という曲は、対比する二つの事象をいくつも例示しつつ、“真実”とは何かということを考えさせる感じの歌詞で、時に身につまされる言葉や、ドキッとするようなストレートな言葉が飛び出します。
そんな中でも、一番重いメッセージ性を持つ歌詞が“母親が・・・”で始まるくだりでしょう。
母親が赤ン坊を殺しても 仕方のなかった時代なんて悲しいね
母親が赤ん坊を殺したら 気違いと呼ばれる今は平和な時
もちろん“平和な時”というのは、英五さん一流の大いなる皮肉で、“母親が赤ん坊を殺す”ということは、どんな時代であれど重いことであり、それぞれの時代に何らかの“病理”が存在するということを伝えたいのだと思います。
それはこの曲のサビの部分でこう歌われているとおりです。
誤魔化さないでそんな言葉では 僕は満足できないのです
天秤計りは重たい方に傾くに決まっているじゃないかい
どちらも もう一方より重たいくせに
どちらへも傾かないなんておかしいよ
真実は一つなのかもしれないけど、それを見つけるまでの過程はそれぞれの数だけあり、時には真実にたどり着けないまま終わってしまうこともあるかも知れない・・・。
『てんびんばかり』は、そんな感じのテーマを独特の歌詞で熱く熱く歌い上げる名曲なのです。
ただ、この曲にはいくつものバージョンがあり、その度にアレンジや歌詞の構成が変わったりしています。
この曲を僕に教えてくれたK鉄さんも、
「オレが今CDで持ってるのと、昔カセットテープで聴いてたのとで歌詞が違うんスよ」
と言っていて、昔神田神保町の中古レコード店を一緒に探索した思い出があります(^^)
CD化されている『てんびんばかり』は、ライブ版を除いても4種類(まだあるかも・・・)あります。
以下でそれらのバージョンを比較してみましょう。
ちなみに、それぞれの呼び名(“世紀末バージョン”以外)は、僕が便宜的に付けたものです。また、演奏時間は同じバージョンでも収録CDによって数秒の誤差が生じることもご了承くださいませ。
1.オリジナルバージョン (演奏時間:8分41秒)
“河島英五とホモサピエンス”時代のバージョン。僕はLP“人類(ワーナー)”で聴きました。
曲の中間辺りに上記で引用した“誤魔化さないで・・・”のくだりがもう一つあります。
また、これ以降のバージョン(ライブ版を除く)は、全てこのバージョンの歌詞を再構成したものとなっています。
また、’02年にワーナーから発売されたCDアルバム“メモリアル・ベスト”に収録された同曲はこれと同じバージョンですが、“母親が赤ン坊を殺しても・・・”のくだりの“気違い”という部分のみが音消しされています(楽天ダウンロードでダウンロード販売されている同曲も同様の音消しバージョンです)。
2.ショートバージョン (演奏時間:5分32秒)
K鉄さん所有のCDアルバム“『文明』ベスト&名曲集(アポロン)”で聴かせてもらいました。
ギターとハーモニカをメインとしたフォーク調のアレンジは1のバージョンとほぼ一緒ながら、“何人もの人を殺した男がいる・・・”や“友達が殴られて仕返しをしに行った男がいる・・・”のくだり等、一部の歌詞がカットされています。
しかし、一番重い歌詞である“母親が赤ン坊を殺しても・・・”のくだりは残されています。
3.世紀末バージョン (演奏時間:6分39秒)
’91年にソニーミュージックからシングルで発売されたバージョンです。
僕はCDアルバム“ゴールデンベスト 河島英五 SINGLES(ソニーミュージック)”で聴きました。
アレンジは1・2のバージョンに比べ、いささかポップス調にアレンジされています。
また、メロディーに対する歌詞の歌い方が1・2・4のバージョンとは若干異なっています。歌い方は4つの中でも一番マイルドだと思いました。
歌詞としては、2のバージョンでカットされていた“何人もの人を・・・”や“友達が殴られて・・・”のくだりが入っている替わりに、一番重い歌詞である“母親が赤ン坊を・・・”のくだりが丸々カットされています。また、その歌詞が入るべき部分(サビ直前)に8小節分の間奏が入っています。
あと、1・2・4のバージョンでは2回リフレインされている“誤魔化さないで・・・”のサビ部分が1回しか歌われていません。
Sony Music OnlineやHMV等でダウンロード販売されているのはこちらのバージョンです(タイトルに“世紀末バージョン”と記載されています)。
4.更に新しいバージョン? (演奏時間:8分45秒)
僕はCDアルバム“DREAM PRICE 1000 河島英五 酒と泪と男と女(ソニーミュージック)”で聴きました。このCDは2001年に発売された6曲入りの廉価版CDなので、もっと以前に発売されたCDにも収録されているかと思います。
このバージョンでは、3のバージョンよりもさらにポップス調にアレンジされており、テンポも早くなっています。
また、イントロが1・2・3のバージョンではギターだったのに対してピアノになっています。
こちらは、1のバージョンの歌詞から追加されたくだりが一番多く、また間奏も長めなため、演奏時間は1のバージョンに匹敵する8分越えとなっています。
しかし、こちらも“母親が赤ン坊を・・・”のくだりはまるまるカットされています。
こうしてみると、代表曲でありながら、そのストレートな歌詞のため(もしくは英五さんのこだわりで?)いくつもの『てんびんばかり』が生まれているのが分かっていただけるかと思います。
あなたが聴いている『てんびんばかり』には含まれていない、まだあなたの知らない歌詞があるかもしれませんよ(^^)
ちなみに、’77年に発売されたLP『LIVE てんびんばかり』で歌われている同曲には、1のバージョンの歌詞の他にも、“兄弟の喜びと悲しみ”や“若者と大人とのやりとり”といった、さらなる情景が歌われています。
最後のサビの部分で英五さんが歌詞を間違えてしまいますが(^^;;;
この『てんびんばかり』、まだ聴いたことのない方も是非一度聴いてみてください。
その歌詞の深さに圧倒されると思いますよ~(^o^)